一眼レフカメラの撮影に慣れてくると、少しずつ「レンズ」を意識を意識し始めるのではないでしょうか。
最初に家電量販店でカメラを検討された方の多くは、店員に勧められて「標準ズームキット」や「ダブルズームキット」などを購入された方も多いと思います。
私もカメラを初めて撮り進めていくうちに、他の方の作品を数多く拝見し、
「これってどうやって撮っているんだろう」を調べるうちにレンズ沼へと陥りました。
一眼レフでの撮影では「綺麗に撮る」、「ボケを楽しむ」、「望遠でぶち抜く」、「超広角でダイナミックに」など様々なスタイルがあります。
当記事では初心者の方にも分かりやすい様に、シーンや撮り方をポイントに紹介していきます。
もくじ
カメラレンズの種類
カメラレンズには多くの種類があります。
最近ではオールドレンズと呼ばれるかなり昔のレンズまで使用できることからも、表現できる幅がさらに増えました。
世間的にファッションから働き方まで「個性的」という部分に重点を置く時代です。
フィルムカメラなども流行っている近年ではオールドレンズなどを使用することで、写真にも「自分のスタイル」を築きあげることがトレンドとなっています。
私がよく使用するのはシーン別で以下があります。
- 適当に色々撮りそうな時:標準ズームレンズ(24-70mm、24-105mm)
- スナップ:単焦点オールドレンズ(40mm)
- ポートレート:中望遠単焦点レンズ(85mm、135mm)
- 旅行先の風景:広角ズームレンズ(16-35mm)、望遠ズームレンズ(70-300mm)
- 星系撮影:超広角単焦点レンズ(15mm)
- 花などを取りたい時:単焦点マクロレンズ(近くに寄って写すことができるレンズ)(90mm)
- 動画用:広角単焦点レンズ(24mm)
画角(写せる範囲)でいえば超広角、広角、標準域、中望遠、望遠、超望遠などがあります。
それぞれの画角のレンズに特徴があるため、撮る人によって良く使う画角などは大きく異なってくるかと思います。
また、フルサイズカメラを使用されている方はフルサイズに対応しているかなども重要です。
APS-Cレンズと比較してフルサイズ対応レンズはかなり重量も価格も増してきます。
APS-C機にはフルサイズレンズ使用可能ですが、フルサイズ機にはAPS-Cレンズは非対応です。
フルサイズ、APS-Cなどのセンサーサイズのコンテンツについてはこちらの記事をご覧ください。
カメラレンズの決め口
カメラのレンズってどうやって決めればいいの?って悩まれている方も多いかと思います。
そういう質問の返しとしてよく言われるのが「何を撮りたいか」ということです。
結局全部撮りたくなって買い揃えようとして浪費することを「レンズ沼」といいます。
まず私はレンズの決め手として以下の項目を確認します。
順番にそれぞれの決め手について紹介していきます。
価格
結局のところここが一番重要な部分かもしれません。
自分の欲しいレンズが思った金額内でない場合は他のレンズを検討する必要性などが出てきます。
もし、純正の欲しいレンズに手が届かない場合は、サードパーティー製レンズと呼ばれる、純正ではないメーカーから発売されているレンズなどを検討するのもいいでしょう。
画角
次に焦点距離〇〇mmのレンズが欲しいなどレンズの画角を決める必要があります。
この焦点距離はAPS-C機はフルサイズの1.5~1.6倍長く、マイクロフォーサーズでは2倍もの長さになります。
例)フルサイズ24mmの場合、APS-C:36mm~38.4mm、マイクロフォーサーズ:48mmという換算になります。
ボカすために望遠を購入する、全体を綺麗に広く撮りたいために広角を購入するなど様々あるかと思います。
画角の変更が効かない単焦点レンズなのか、ズームレンズで様々な画角で写したいのか。
それぞれ検討してみるのもいいと思います。
単焦点の利点などについては当ページの単焦点レンズについてのコンテンツにて紹介いたします。
F値
次にレンズを購入する中で明るさやボケなどを決定付けるF値です。
F値の最小が小さいものは「明るいレンズ」や「ボケるレンズ」などとも呼ばれます。
F値が低く、四隅までしっかり綺麗に写し出すレンズは良いレンズです。
その分重量も重く、高価になります。
画質
よく「画質のいいカメラ」と言われますが、一眼レフに至ってはこの限りではありません。
写し出す画はレンズのメーカーや製造方法、価格などにもよって大きく異なってきます。
四隅までの解像度、色合い(色乗り)、逆光耐性、ボケの綺麗さなどレンズによって様々です。
これがいわゆる「味」という表現に近いものです。
最短撮影距離
レンズによっては重要になってくる「寄れる」かどうかということです。
これは被写体があった場合にその被写体にカメラを近づけてピントが合った状態で撮影できるかどうかというもの。
近づいて撮影を行う「接写」ではどんなレンズでもある程度ボケを作ったり、綺麗に写すことができるため、最短撮影距離が短いに越したことはありません。
これが等倍(1:1)の比率の極限まで近寄って撮影可能なレンズがマクロレンズと呼ばれるものです。
AF(オートフォーカス)速度
ポートレートやペットを撮影したい方や、動的なものを撮影したい方などは気にすべき点かもしれません。
フォーカスの合い易さ、細部まで完璧なフォーカス(バチピン)率、被写体にピントが合うまでの速度などオートフォーカスが自分の思った通りに機能してくるかも大切です。
重量・サイズ
これは私がレンズを選ぶ中でかなり気にしており、「気軽に持ち運びたい」一心から1kgを超えるレンズは基本的に購入しないようにしています。
中には重たい方が安定する、撮っている感があるなどのことから重たいレンズばかりを購入する方もいらっしゃいます。
旅行に持って行きたい、気軽に撮りたいという方は小さいレンズ、
とにかく画質や撮影にこだわりたい、車があるから気にならないという方は大きいレンズ
など用途に分けて使い分けるのも大切です。
現在の人気/レビュー
これも大切な要素で、今までに紹介した項目全てが自分に合っているからと言って購入すると、思っていた写りをしないなんてこともあるかと思います。
そういう意味でも「先人の教え」というものは大切にしています。
ただ、理論値だけでレビューしている人の話は信用してはいけません。
大切な要素かもしれませんが、試せるのであれば大きい家電量販店などへ行って実際に試してみるのもいいかもしれません。
中古の価格
私は基本的に新品でのみ購入する様にしています。
高価な品物のため購入トラブルを避けたいため
ただ、人気なレンズでも型落ちや、年数が経つにつれて価格が下がったりします。
そこで、中古の価格を新品の価格と見比べた際に、中古でも納得できるであれば中古での購入を検討するのもいいかと思います。
中古でも大変美品なものが数多く転がっています。
海外メーカーなどの場合は海外からの並行輸入で仕入れられ、日本ではサポートを受けられない場合などがありますのでご注意ください。
レンズ別の価格帯
レンズの価格は数千円から数百万円まで幅広くあります。
ではそのレンズの価格の違いを決定づけているものは何なのか?
主にはF値、素材、解像度などです。
F値が低く、全てを綺麗に写し出すレンズはそれ相応の価格になってきます。
その他にも素材感があり、見た目の高級感から防塵防滴性能まで様々な素材の要素が加わってきます。
レンズに至って、サイズ/重量などの携帯性はユーザーに評価こそされますが、価格には直接影響していない様にも思えます。
安いレンズを購入して損した、高いレンズを購入して損したなどが無いようにするためにもカメラレンズは慎重に選んでください。
中には「撒き餌レンズ」と呼ばれ、安価でいいレンズなども転がっています。
特に50mm F1.8の単焦点レンズは各メーカー力を入れているため間違いのない製品かと思います。
何を優先させるか
お金がいくらでもあるのであれば話は別ですが、ユーザーの多くはより安くレンズを取りそろえたいと考えるはずです。
たとえば…
- 暗所で撮ることが多いため明るいレンズが欲しい
- 旅行や山登りによく持って行くため携帯性の良いものがいい
- ファッションとして取り入れるため小さくて可愛いものがいい
- 何でも撮りたいから何でも撮影できるレンズがいい
- フィルム感を出したいから古いレンズが欲しい
- 撮るものが決まっているからそれに合った最上級のレンズが欲しい
結局のところ誰もが言うように、あなた自身の用途に合わせて決めることが大切になります。
あなたの撮影スタイルを細かく紐解いて、出せる金額を決め、何を購入すべきかを検討してみてください。
標準ズームレンズ
フルサイズ:24-70mm APS-C:18-55mm マイクロフォーサーズ:12-35mmなど
まずはじめに持つであろう標準ズームレンズ。
多くの方は購入時に「何でも撮るならレンズキットで購入」という押し文言に勧められて購入するからです。
レンズキットのレンズは何でも撮れるというのは正解で、あながち間違いです。
標準的な写真のほとんどが収まる画角ですが、ボケ写真と暗所での写真には向きません。写りも他レンズと比べて優れていないものが多いです。
せっかく一眼レフを購入したのであればボカしたい。そう思われる方も多いと思います。
そういう場合はレンズキットではなく、ボディ単品と単焦点レンズをセットで購入することをオススメいたします。
お値段こそ張りますが、代表的なものは大三元と呼ばれる24-70mm F2.8や、
小三元とよばれる24-70 F4などがあります。
撮るものが決まっていない場合や、何でも撮りたいという方にはオススメできるレンズです。
高倍率ズームレンズ
フルサイズ:24-240mm APS-C:18-200mm マイクロフォーサーズ:14-150mmなど
標準ズームレンズよりさらに伸びるズームレンズです。
本当に「何もかもこれ一本で済ませたい」という方のためのレンズ。
高倍率でなにが悪いの?と思われる方も多いと思います。
実際一番望遠側で撮影したら十分にボケさせることも可能です。
「なにが悪いか」の答えとしては、高倍率の代償としてF値と画質を犠牲にしているということです。
高倍率のレンズで明るい、高画質、ボケが綺麗などいずれかに当てはまるレンズを未だかつて見た事がありません。
とはいえ、一眼レフに装着するものですのでそれなりには写ります。
何でも一本で済ませたいという方にはおすすめのできる一本です。
望遠ズームレンズ
フルサイズ:70-200mm APS-C:55-200mm マイクロフォーサーズ:45-150mmなど
いわゆる望遠レンズです。コアなカメラマンでない限り望遠の単焦点を所有している人は少ないでしょう。
遠くのものを綺麗に写す、遠くのものをボカしたい、背景を引き寄せた撮影(圧縮効果)を行いたい。
こういう方には持ってこいのレンズです。
風景写真なんかも案外広角でダイナミックな撮影を行うより、望遠で一部をぶち抜いた方が画になったりする場合が多いです。
他にもポートレート撮影では70-200mm F2.8というレンズを使用することも多くあります。
望遠ズームレンズの代表的なレンズとしては、大三元の一つとして70-200mm F2.8、小三元として70-200mm F4です。他にも70-300mm F4.5-5.6なども小三元と同じく選ばれる一つでしょう。
単焦点レンズ
私的初心者が一番最初に触れるべきレンズです。
なぜかというと最小F値が低いおかげで、
・多少の暗さなら手ブレなく撮影可能
・よくボケる写真の撮影が可能
・ズームができないので構図を意識するため上達が早い
という理由からです。
また、ズームできるレンズに比べて段違いに画質が良いです。
せっかく撮影した写真がピンボケしていたり、ボカしたい場面でボケてくれなかったりすると痒い所に手が届かない感覚で撮影している感じがしませんか?
逆に遠くが写せなかったり、近くを写したくても近すぎて撮影できなかったりということがあるかもしれません。
自分の足で動ける分は動いてください。
F値を選んで撮影できることや、距離を気にしながら撮影することによって、
カメラとレンズに対しての学びも多いため、上達に導いてくれるレンズです。
マクロレンズ
レンズの名称に「MACRO」や「MICRO」の文字が入っており、
花の撮影や物撮りに使われることが多いレンズです。
単焦点もズームもあります。
私も花の撮影が好きなためよく使用します。
もしレンズの性能表を見られる機会があれば「最大撮影倍率」という項目をご覧ください。
それが1倍(等倍)とされるものがマクロレンズです。
特徴として・近接撮影(接写)が可能・よくボケる・ボケ、写り共に画質が素晴らしいなどが挙げられます。
基本的に近接撮影にのみ使われると思い勝ちなマクロレンズですが、
画質や色乗りの良さから私はポートレートでも使用することがあります。
思った以上に単焦点として幅広く使いこなすことが出来るため、おすすめのレンズです。
画角は70mm以上をオススメいたします。
価格的にはマクロ撮影機能が付くだけあって、通常の単焦点レンズより金額は少し高価なものになります。
広角レンズ
フルサイズ:24~35mm APS-C:18-28mm マイクロフォーサーズ:12-18mm
自分の目線より広く写したい。そんな方にオススメできるレンズです。
スマートフォンカメラの多くがフルサイズ換算35mmですので、その感覚で考えてもらうと分かりやすいかもしれません。
一眼レフカメラは画素数が2000万前後ある機種が多いため、
広く撮ってトリミングしても十分綺麗な画像を残す事が出来ます。
トリミングよりも適正画角のレンズを使用した方が綺麗ではあります。
風景からスナップまでこなすレンズとして汎用性の高いレンズです。
超広角レンズ
フルサイズ:19mm以下 APS-C:13mm以下 マイクロフォーサーズ:9mm以下
広く写して多くの情報を取り込むダイナミックな撮影ができるレンズです。
私は星系写真の撮影や風景撮影では望遠レンズとこの超広角レンズを使い分ける事がほとんどです。
代表的なもので大三元レンズの16-35mm F2.8や14-24mm F2.8などがあり、小三元として16-35mm F4や12-24mm F4などがあります。
もちろん単焦点レンズも存在します。
最近ではiPhone11が革新をつくような13mmのカメラが搭載されました。
「スマホでも写せないような」という文言こそ使えませんが星や風景をよく撮影される方にはぜひ手にしていただきたいレンズです。
魚眼レンズ
超広角レンズの一種でありフィッシュアイレンズと呼ばれるもので、少し特徴的な写りをします。
出目金ともよばれます。
通常のレンズは歪曲を出さない様に設計されています。
しかしこの魚眼レンズはあえて歪ませて広い範囲を描写するというものです。
被写体に向けて中心部を大きく表現することで面白い写真を撮影したり、
ビルや広大な風景を撮影することでダイナミックな写真を撮影したりすることができます。
星系撮影などでも地球の丸みを表現できたりするので、興味がある方は一度使用してみてもいいかもしれません。
オールドレンズ
その名の通り昔のレンズです。
一昔前は今のような鮮明さや、逆光に対する耐性などがありません。
ですが今はフィルム写真などの様に、それを「味」として表現の一種となっています。
昭和風の色褪せて淡い感じ、レトロな感じで撮影を試したい方にはぜひおすすめです。
また中古製品が多いこともあり、比較的低価格で出回っています。
気を付けていただきたい点として以下があります。
- オールドレンズ対応のカメラか(ミラーレスカメラはアダプターを介して使用可能になることが多い)
- 大きなゴミやチリが入っていないか(古いと修理を受け付けてくれない場合もあります)
- カビってないか(カビは移るため、カメラ側に付着する可能性があります)
- ジャンク品ではないか(中古ジャンク品が数多く出回っています)
まとめ
このように様々な種類のレンズがあります。
当記事の一部でレンズキットのレンズを否定するような文がありましたが、
比較的割安でセットとなって販売されていることが多いため一度購入して試してみるのもいいかもしれません。
撮影したいモノやあなたのスタイルによって変えていく事が大切です。
ぜひ私の様にレンズ沼にはまってみてください。
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